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にゃんでんかんでん

著者名 た行

著者名 た行

   バトル・ロワイアル
バトル・ロワイアル(高見広春)
 西暦1997年、東洋の全体主義国家、大東亜共和国。この国では毎年、全国の中学3年生を対象に任意の50クラスを選び、国防上必要な戦闘シミュレーションと称する殺人ゲーム、“プログラム”を行なっていた。ゲームはクラスごとに実施、生徒たちは与えられた武器で互いに殺し合い、最後に残った一人だけは家に帰ることができる。香川県城岩町立城岩中学校3年B組の七原秋也ら生徒42人は、夜のうちに修学旅行のバスごと政府に拉致され、高松市沖の小さな島に連行された。催眠ガスによる眠りから覚めた秋也たちに、坂持金発と名乗る政府の役人が、“プログラム”の開始を告げる。ゲームの中に投げ込まれた少年、少女たちは、さまざまに行動する。殺す者、殺せない者、自殺をはかる者、狂う者。仲間をつくる者、孤独になる者。信じることができない者、なお信じようとする者。愛する気持ちと不信の交錯、そして流血……。ギリギリの状況における少年、少女たちの絶望的な青春を描いた問答無用、凶悪無比のデッド&ポップなデス・ゲーム小説!
 某小説新人賞選考委員会員から、あまりの内容の過激さゆえ、揃いに揃って拒絶、落選させられた問題作。らしいのですが・・・。確かに内容は残酷。40人もの生徒が殺し合いによって死んでいくのですから・・・。しかし、人間の弱さや強さ。優しさや残酷さ。愛情と友情。あらゆるものがつまっていて、なかなかの大作だと思いました。普通の子供達が殺しあうだけだと悲惨このうえない話になるのでしょうけれど、感情というものが全く無い生徒、精神を病んでしまっている生徒(経緯については同情もしますが)を悪役にするなど配慮(?)もあり、こんなに切羽詰った状況の中でも頭の中ではボケと突っ込みを自分でしていたり・・・。『暗さ』はありません。あくまでも『小説の中の世界』として楽しめました。(2006/5/18)



   夜市
夜市(恒川光太郎)   
 大学生のいずみは、高校時代の同級生・裕司から「夜市にいかないか」と誘われた。何でも売っている不思議な市場「夜市」。幼い頃夜市に迷い込んだ裕司は、弟と引き換えに「野球の才能」を手に入れた。しかし、ずっと罪悪感を抱き続け、弟を買い戻すために夜市を訪れたのだが…。怖さと悲しみをたたえる幻想的な文体で、選考委員が激賞した第12回日本ホラー小説大賞受賞作。
 ホラー小説大賞受賞作というので どれほど怖い話なのかと思ったのですが、少々期待はずれでした。確かに目に浮かんでくる情景は不気味。しかし、連れて行かれたいずみも全然怖がっていないのです。怖い話というより、気味の悪い話。展開が意表をついたものだったので、そちらの部分で楽しめました。
もう一つの話、『風の古道』は妖怪の通る道の話なのですが 『夜市』と同じような感想を持ちました。(2006/4/15)


   包帯クラブ
包帯クラブ(天童荒太)
 傷ついた少年少女たちは、戦わないかたちで、自分たちの大切なものを守ることにした…。『家族狩り』『永遠の仔』の作者が、この時代に生きる人たち、特に、いまの社会が生き難いと感じている若い人たちに語りかける、6年ぶりの書き下ろし小説。
 読みながら自分の『傷』について考えました。人から受けた傷もあるけれど、人を傷つけてしまったことが自分の傷になっている部分がとても多く、思うと未だにひりひりと痛みます。そんな時『包帯』を巻いてくれる友人がそばにいるなら、それだけで癒されると思いました。
そもそも、その傷を打ち明けられる人が周りにいるという事は幸せだと感じました。いつの間にか誰かを傷つけたり誰かに傷付けられたり・・・悲しい世の中ですが、傷を傷と認め合うことができたら それだけでも何かが変わる気がします。(2006/5/2)


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